COLUMN
コラム
リスティング広告のアカウント構成|成果を分ける設計の考え方と実践手順
「リスティング広告を運用しているけれど、アカウント構成がこれで合っているのかわからない」 「代理店に任せているが、構成の良し悪しを自分では判断できない」
こうした不安を感じている方は少なくありません。
実際、リスティング広告の成果は「どんなキーワードで出すか」以上に、アカウント構成の設計に左右されます。 構成に問題があると、予算が非効率に分散し、Googleの機械学習も正常に機能しません。
弊社ClimbUp Agencyの代表は、大手Web広告代理店で月額数千万円〜1億円規模のアカウントを運用してきました。 現在も中小企業のリプレイス案件を中心に、アカウント構成の見直しから成果改善まで一貫して支援しています。
本記事では、以下の内容を解説します。
アカウント構成の基本(4つの階層とその役割)
成果が出る構成の設計手順(5ステップ)
Hagakure構造の本質と2026年最新トレンド
代理店のアカウント構成を広告主が評価するチェックポイント
よくある失敗パターン3選
2026年現在、Google広告のAI・自動入札は急速に進化しています。 古いアカウント構成のままでは機械学習の恩恵を受けられず、競合との成果差は開く一方です。
なお、自社のアカウント構成に不安を感じている方は、ClimbUp Agencyの完全無料アカウント診断もご活用ください。 独自の診断書(15ページ以上のPDF)で改善施策をご提案し、最短1営業日でレポートをお届けします。
リスティング広告のアカウント構成とは|基本の4階層を理解する
リスティング広告のアカウント構成とは、広告配信を管理するための階層設計のことです。 Google広告・Yahoo!広告ともに基本構造は同じで、以下の4階層で成り立っています。
階層 | 役割 | 主な設定項目 |
アカウント | 最上位の管理単位 | ログイン情報、支払い設定 |
キャンペーン | 予算・配信設定の単位 | 日予算、配信地域、デバイス、入札戦略 |
広告グループ | キーワードと広告文のセット | 入札単価、ターゲティング調整 |
キーワード・広告 | ユーザーが直接触れる部分 | マッチタイプ、広告文、リンク先URL |
パソコンのフォルダ構造をイメージするとわかりやすいでしょう。 1台のPC(アカウント)の中に複数のフォルダ(キャンペーン)があり、各フォルダにサブフォルダ(広告グループ)が入っている構造です。
それぞれの役割を詳しく見ていきましょう。
アカウントとキャンペーンの役割|「予算の箱」をどう分けるか
アカウントは1企業につき1つが基本です。 設定できるのはログイン情報や支払い方法など、管理上の項目に限られます。
運用で重要なのはキャンペーンの方です。 キャンペーンは予算と配信条件を制御する最重要の分類単位であり、以下の設定が可能です。
日予算の上限
配信地域・配信スケジュール
デバイスごとの入札調整
入札戦略(手動CPC、目標CPA、目標ROAS等)
ネットワーク設定(検索のみ、ディスプレイ含む等)
つまり「予算を分けたい」「配信条件を変えたい」場面でキャンペーンを分ける。 これが設計の基本原則です。
広告グループの役割|「キーワード×広告文の組み合わせ」を設計する
広告グループは、キーワードと広告文をセットにする単位です。 同じ広告グループ内のキーワードには、同じ広告文が表示されます。
ここが重要なポイントです。 検索意図が異なるキーワードを1つの広告グループに混ぜると、広告文との関連性が下がります。 関連性の低下は品質スコアの悪化を招き、クリック単価が上がる原因になりかねません。
広告グループの設計原則は「同じ広告文で自然に訴求できるキーワード同士をまとめる」こと。 この原則を守るだけで、アカウント構成の質は大きく変わります。
なぜアカウント構成が成果を左右するのか|3つの理由
「構成は枝葉の話では?」と思う方もいるかもしれません。 しかし、アカウント構成は成果の根幹を決める要素です。
①予算配分の効率が変わる。 構成が適切であれば、成果の出るキーワード群に予算を集中投下できます。 構成が悪いと効率の低いキーワードにも予算が分散し、CPAが悪化する原因に。
②機械学習の精度が変わる。 Google広告の自動入札(Smart Bidding)は、データ量が多いほど精度が高まります。 キャンペーンや広告グループを細かく分けすぎると各セグメントのデータが不足し、自動入札が正常に機能しません。
③運用改善のスピードが変わる。 論理的でシンプルな構成なら、成果悪化時の原因特定が容易です。 構成が複雑に入り組んでいると、問題箇所の特定だけで時間を浪費してしまいます。
Google広告ヘルプでも、データを集約しやすいシンプルなアカウント構造が推奨されています。
成果が出るアカウント構成の設計手順|5ステップで組み立てる
アカウント構成は「なんとなく」で作ると、あとから修正が困難になります。 以下の5ステップで順番に設計すれば、論理的かつ運用しやすい構成が完成します。
ステップ | 内容 |
Step 1 | 広告のゴールとKPIを定義する |
Step 2 | キーワードを洗い出しグルーピングする |
Step 3 | 広告グループを設計する |
Step 4 | キャンペーンに束ねる |
Step 5 | 広告文とリンク先を紐づける |
それぞれ順に解説します。
Step 1|広告のゴールとKPIを明確にする
最初に決めるのは「何をCVとし、1件あたりいくらまで許容するか」です。 問い合わせ・購入・資料請求など、CVの定義によって構成の設計方針は変わります。
たとえば許容CPA 5,000円の商材と50,000円の商材を同じキャンペーンにまとめると、入札戦略が最適化しにくくなります。 ゴールとKPIを先に決めることで、キャンペーンの分け方に一貫した基準が生まれるのです。
Step 2|キーワードを洗い出しグルーピングする
次に、出稿したいキーワードを網羅的に洗い出します。 洗い出したキーワードは、検索意図(ユーザーが何を求めているか)でグルーピングしましょう。
弊社ClimbUp Agencyでは、キーワードを検討度の高さで分類するフレームワークを使っています(弊社調べ)。
指名系:自社名やブランド名で検索するユーザー(最も検討度が高い)
比較・検討系:「〇〇 おすすめ」「〇〇 比較」で検索するユーザー
課題・情報収集系:「〇〇 方法」「〇〇とは」で検索するユーザー
検討度が異なるキーワードはCVRに大きな差が出ます。 同じ広告グループに混ぜず、分けて管理するのが鉄則です。
Step 3〜5|広告グループ→キャンペーン→広告文を組み立てる
Step 2でグルーピングしたキーワードをもとに、広告グループ→キャンペーンの順で構造を組み立てます。
広告グループの設計基準: 「同じ広告文で訴求できるキーワード群」を1つの広告グループにまとめます。 たとえば「リスティング広告 代理店」「リスティング広告 運用代行」は同じ広告文で訴求でき、同じ広告グループに入れてよいケースが多いでしょう。
キャンペーンの設計基準: 以下の4つのいずれかに該当する場合、キャンペーンを分けます。
日予算を個別に管理したい(指名KWと一般KWで予算配分を変えたい等)
入札戦略を変えたい(目標CPA vs 目標ROAS等)
配信地域やスケジュールが異なる
商材カテゴリやCVR・CPAが大きく異なる
逆に、上記に該当しないのにキャンペーンを分けると、データが無意味に分散します。
広告文とリンク先の紐づけ: 最後に各広告グループにレスポンシブ検索広告(RSA)を作成し、リンク先URLを設定します。 広告グループ内の全広告は同じリンク先URLになる点に注意してください。 訴求内容やリンク先が異なるなら、広告グループを分ける必要があります。
Hagakure構造とは|Googleが推奨する「シンプル設計」の本質
リスティング広告のアカウント構成を調べると必ず目にするのが「Hagakure(葉隠れ)」構造です。 Googleが提唱したアカウント設計の考え方ですが、「とにかくまとめればいい」という誤解も少なくありません。
本章ではHagakure構造の本質と、2026年時点での最新トレンドを整理します。
項目 | 内容 |
Hagakureの目的 | データを集約し機械学習の精度を高める |
核心 | 「不要な細分化をしない」こと。少ない=正解ではない |
2026年の位置づけ | 自動入札×AI Max時代にもベース思想として有効 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
Hagakure構造の考え方|「データ集約×機械学習の最大化」
Hagakureの核心は、キャンペーンや広告グループを可能な限りシンプルにし、データを集約する点にあります。
かつてはキーワードごとに広告グループを分ける「SKAG(Single Keyword Ad Group)」が効果的とされていました。 しかし自動入札の進化により、機械学習が十分なデータを必要とする時代に変わっています。 細かく分けすぎると各セグメントのCV数が不足し、自動入札の学習が追いつきません。
Yahoo!広告でも「六連」「六連プラス」という同方向のフレームワークが推奨されています。 Google・Yahoo!ともに「シンプルにデータを集約できる構造」が成果につながりやすい、という点で一致した方向性です。
「シンプルにすればいい」は誤解|分けるべき場面と判断基準
ただし「Hagakure=すべてを1キャンペーン1広告グループにまとめる」は誤解です。
弊社の経験では、「分けすぎ」で失敗するケースと「まとめすぎ」で失敗するケースがほぼ同程度の頻度で発生しています(弊社調べ)。
分けるべき4つの基準:
予算配分を個別管理したい場合(指名KWと一般KWの予算比率をコントロールしたい等)
入札戦略を変えたい場合(CPAが大きく異なる商材を同じキャンペーンにすると自動入札が迷走する)
配信条件が異なる場合(地域限定、時間帯限定等)
CVR・CPAに大きな差がある場合(高単価商材と低単価商材の混在は避ける)
この4基準に該当しないのに分けているなら、統合を検討すべきです。 該当するのに1つにまとめているなら、分割が必要かもしれません。
2026年の最新トレンド|自動入札×AI Max時代のアカウント構成 {#anchor-trend-2026}
2026年現在、Google広告のアカウント構成はさらに大きな転換期にあります。
海外の主要マーケティングメディアでも、ブロードマッチ×自動入札の組み合わせが「月間CV数が十分にあるアカウントでは推奨アプローチ」として紹介されています(出典:WordStream Blog, 2026)。
弊社の実感値としても、月間30件以上のCVがあるキャンペーンでは、ブロードマッチ×自動入札のシンプル構成の方が成果が安定しやすい傾向があります(弊社調べ)。 なお、入札戦略によっては月間50件以上のCVが推奨される場合もあるため、自社の状況に合わせた判断が必要です。
2026年の主な変化を整理すると、以下の通りです。
ブロードマッチ×自動入札が標準的な運用手法に定着。完全一致やフレーズ一致で細かく分ける必要性が低下
AI Max for Searchが2025年にグローバル展開。広告文の自動生成やキーワードリスト外の検索語句へのマッチングが可能に
P-MAXキャンペーンにキャンペーンレベルの除外キーワード機能が追加(2025年〜、最大10,000件)。検索キャンペーンとの棲み分けが容易に
ただし「すべてをAIに任せればいい」わけではありません。 AIが最適化しやすい構造を人間が設計し、ビジネス上の意図を構造に反映させること。 これが2026年のアカウント構成で最も重要な考え方です。
代理店のアカウント構成を評価する5つのチェックポイント
広告代理店にリスティング広告を委託している場合、代理店が作ったアカウント構成が適切かどうかを広告主自身が判断できることが重要です。
管理画面を直接見なくても、代理店への質問だけで構成の良し悪しを見抜ける5つのチェックポイントを紹介します。
# | チェック項目 | 確認方法 |
① | キャンペーン数は適切か | 商材数・目的に対して多すぎないか質問する |
② | 広告グループの分け方に意図があるか | 分類基準を説明してもらう |
③ | データが分散しすぎていないか | 広告グループごとの月間CV数を聞く |
④ | 入札戦略とデータ量が整合しているか | 自動入札使用時の月間CV数を確認する |
⑤ | 定期的に構成見直しをしているか | 直近の構成変更履歴を聞く |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
チェック①②|キャンペーン数と広告グループの分類基準を確認する {#anchor-check-1}
まず確認すべきは、キャンペーン数と広告グループの分け方です。
月額50万円程度の予算に対してキャンペーンが10個以上ある場合、データが分散しすぎている可能性があります。 弊社がリプレイスで引き継いだアカウントの中には、月50万円の予算にキャンペーン20個以上が設定されていたケースもありました(弊社調べ)。 各キャンペーンの月間CV数が0〜1件で、自動入札がまったく学習できていない状態だったのです。
もう一つ重要なのが、広告グループの分類基準です。 「なぜこのグループ分けにしたのですか?」と代理店に聞いてみてください。 明確な基準(検索意図別、商材別、検討度別等)を説明できない代理店は要注意です。
アカウント構成は「戦略そのもの」です。 意図のない構成は、戦略がないのと同じだからです。
チェック③④⑤|データ量・入札戦略・構成の更新頻度を確認する
自動入札が適切に学習するには、キャンペーンあたり月間30件以上のCVが一つの目安になります。 入札戦略が「目標ROAS」の場合は月間50件以上が推奨されるケースもあります(弊社調べ)。
自動入札を使っているにもかかわらず、キャンペーン単位の月間CV数が10件未満なら、構成を統合すべきサインです。
また、構成を1年以上見直していないケースも危険信号。 市場環境、競合の入札動向、Googleのアルゴリズム変更は常に起きています。 最低でも四半期に1回はアカウント構成の見直しを代理店に依頼しましょう。
ClimbUp Agencyでは、15ページ以上のPDFレポートで上記のチェックポイントをすべて網羅した完全無料のアカウント診断を提供しています。 「代理店に質問する前に、まず客観的な評価が欲しい」という方は、ぜひご活用ください。
よくある失敗パターン3選|アカウント構成でやってはいけないこと
アカウント構成の失敗パターンには共通点があります。 弊社がリプレイス案件で数多くのアカウントを引き継ぐ中で、特に頻度の高い3つの失敗を紹介します。
失敗①:キーワードごとに広告グループを分けすぎる(SKAG構成の残骸)
失敗②:目的の異なるKWを1つのキャンペーンに混在させる
失敗③:一度作った構成を1年以上見直していない
それぞれ解説します。
失敗①|キーワードごとに広告グループを分けすぎる {#anchor-fail-1}
2018年頃まで主流だった「1キーワード1広告グループ(SKAG)」の構成が、そのまま残っているケースです。
キーワードが100個あれば広告グループも100個になり、各グループのデータが極端に少なくなります。 この状態では自動入札が学習に必要なデータを得られず、入札精度が上がりません。
2026年時点では、検索意図が近いキーワード群をテーマ単位で広告グループにまとめるのが推奨です。
失敗②|目的の異なるKWを1つのキャンペーンに混在させる {#anchor-fail-2}
指名キーワード(自社名検索)と一般キーワードを同じキャンペーンにまとめると、予算の大半が指名キーワードに消費されがちです。 指名キーワードはCPCが安くCTRが高いため、自動入札が「効率がいい」と判断して配信を寄せてしまいます。
結果として一般キーワードに十分な予算が回らず、新規リード獲得が停滞する原因に。 最低でも「指名キャンペーン」と「一般キャンペーン」は分けて管理すべきです。
失敗③|一度作った構成を1年以上見直していない {#anchor-fail-3}
アカウント構成は一度作れば終わりではありません。 商材ラインナップの変更、競合の入札強化、Googleのアルゴリズム変更など、構成を見直すべきタイミングは頻繁に訪れます。
弊社ClimbUp Agencyでは、すべての施策変更(構成変更を含む)を「変更履歴PDCAシート」に記録し、振り返りを仕組み化しています。 このシートはクライアント企業と共有するため、代理店側だけでなく広告主の社内にもナレッジが蓄積される仕組みです。
まとめ|リスティング広告のアカウント構成は「戦略そのもの」
本記事の要点を整理します。
リスティング広告のアカウント構成は、キャンペーン→広告グループ→キーワード・広告の4階層で成り立つ
構成の良し悪しが、予算配分の効率・機械学習の精度・運用改善のスピードを決める
設計は「ゴール定義→KWグルーピング→広告グループ→キャンペーン→広告文」の順で進める
Hagakure構造の本質は「不要な細分化をしない」こと。ただし分けるべき場面もある
代理店に委託している場合は、5つのチェックポイントで構成の妥当性を評価できる
次にとるべきアクション:
まずは本記事のチェックポイントを使って、自社のアカウント構成を確認してみてください。 チェックの結果に不安が残る場合は、第三者視点でアカウントを評価してもらうことをおすすめします。
ClimbUp Agencyでは、サービス内容・料金・実績をまとめた資料を無料でお送りしています。 また、具体的な改善余地を知りたい方には、独自の診断書(15ページ以上のPDF)で課題と改善施策をご提案する完全無料のアカウント診断もご用意しています。
まずは資料でサービス全体像をご確認ください。 現状の運用に課題を感じている方は、無料診断もあわせてご活用いただけます。
